がっこうのかいだん

息を切らせながら校舎の階段を駆け上がる。心臓が鼓動し、汗が額を伝う。いつものようにギリギリの時間に登校した私の目に飛び込んできたのは、異様な光景だった。

人だかりが教室の入り口を塞ぎ、私の視界を遮る。何が起こったのか、不安と好奇心が入り混じった感情が渦巻く。ようやく人垣を掻き分け、教室に足を踏み入れた瞬間、狂気の叫びが喉元から溢れ出そうになった。

黒板の前、教壇の後ろに横たわる担任の鷹栖先生。血まみれの姿は、まるで凄惨な絵画のようだった。袈裟懸けに斬られた首から、生々しい血が床に広がり、異様な臭気が鼻腔を刺激する。

信じられない光景に、思考が停止する。ほんの数時間前まで、いつものように授業をしていた先生だ。笑顔で話しかけ、時には厳しく叱り、私たちを導いてくれた存在が、なぜこんなにも無残な姿で倒れているのか。

周囲の生徒たちは、悲鳴を上げたり、呆然と立ち尽くしたり、混乱状態に陥っていた。私も例外ではなく、足が震え、声も出ない。ただただ、目の前の光景を茫然と見つめることしかできなかった。

突然、教室の扉が勢いよく開き、刑事たちが現場に駆け込んできた。鑑識班が血痕や指紋を採取し、生徒たちは一人ずつ事情聴取を受ける。私は、まだ混乱した頭の中を整理できず、断片的な記憶を必死に繋ぎ合わせる。

昨日の授業中、鷹栖先生はいつもと少し様子が違っていた。どこか浮かない顔で、授業に集中できていないようだった。何か悩みがあったのだろうか。それとも、殺害されることを予感していたのだろうか。

考えれば考えるほど、謎が深まるばかり。犯人は誰なのか?殺害理由は?先生はなぜあの場所に倒れていたのか?

混乱と不安の中で、ただ一つ確かなことは、二度とあの笑顔に会えないという残酷な現実だった。

事件後、学校は休校となり、生徒たちは深い悲しみに包まれた。先生への追悼式が行われ、私たちは涙ながらに別れを告げた。

しかし、事件の真相は闇の中。犯人逮捕のニュースはなく、私の心には拭えない傷跡が残った。

あの日、私は何を見聞きしたのか?真実を知ることはできるのだろうか?

時が経っても、あの光景は鮮明に脳裏に焼き付いている。血まみれの先生、混乱する生徒たち、そして虚無感に支配された教室。

私は、あの日の記憶と向き合いながら、真実を探し続けることを決意した。

真相が何であれ、私は絶対に忘れない。鷹栖先生の笑顔、そしてあの日教室で目撃した残酷な光景を。

鷹栖先生のためというよりも、自分のためでもあった。

これはわたしに課せられた使命や試練のように感じられたからだ。